ぴ〜教授のショートサスペンス  あなたはこのfinalに耐えられるか!

 
  女優-1('02/10/26)  女優-7('02/12/15)    究極玩具-4('03/2/16)

 
 女優-2('02/10/30)  女優-8('02/12/16)    究極玩具-5('03/2/22)

 
 女優-3('02/11/3)   4人の男('03/1/22)    究極玩具-6('03/2/28) 

 
 女優-4('02/11/10)  究極玩具-1('03/1/27)

 
 女優-5('02/11/16)  究極玩具-2('03/1/30)

 
 女優-6('02/11/26)  究極玩具-3('03/2/1)
   


 究極玩具−3

「トランスポートのボタンとモニターの
もぐらを押してみて」、私は言われるままに、適当にもぐら選んで押した。
モニターの
もぐら、いや、おやじが俺のもぐらたたきに移った。と同じに、洋子もぐらが消えた。
なるほど、こういうふうに奪うのか。「あと1匹とれるんだけど、もうひとつの選択を教えるね。
今度は、リリースのボタンと残っている
もぐらの内の1つを押して」

私は残っている
もぐらから1匹のOLらしいもぐらを選んで、押した。もぐらはなんかうれしそうに
して、ペコっと頭を下げたように見えた。そして消えた。「彼女は
もぐらから開放されたって訳よ。」
だいたい飲み込めた。自分のモニターのスコア−を見た。800点、ランク外となっている。
洋子のモニターは600点、これまたランク外となっていた。

どうやら、勝負の勝敗が
もぐらの獲得と点数そしてランクに連動しているらしい。

それからというもの、私は家族には内緒で
もぐらカフェに通い続けた。対戦ではなく、ゲームを極める
ためである。一人用のシミュレーションができるのだ。そして3ヶ月が経過した。
洋子はそれから5匹を集めたらしく、リングがに変わっていた。

「やあ、5匹そろったみたいだね。」
「うん、
もぐらたたきやったわよ。めっちゃ、ストレス解消。」
「どうや、俺とやるか。」「しようかっていいたいけど、やっとそろったから、今日はやめとくわ。」
どうやら俺の腕を警戒しているようだ。
「いい相手教えるわ、経理の
斎藤主任。相手探してたわよ。彼、テニス強いからね。気をつけて」
「Thanks」

経理の斎藤に近づいた。いかにも初心者を装って。
斎藤はみごとに乗ってきた。俺は、この時既に
ゲームの全てのメニューをこなし、ある程度のレベルまでは達していた。これぐらいで通じるかどうかは、
自分でもわからない。
斎藤、俺は、何でもいいぜ。」「すごい、自身だな。じゃあ、遠慮なく。テニスでどうだ」

あっけなく、勝ってしまった。モニターの数字は
をはじき出した。相手の選択したゲームに勝てば
かなりの数の
もぐらと得点がはいることを、俺はつかんでいた。
斎藤のモニターには3体しかない。この時、どうなるか、俺は知りたかった。
俺のもぐらは前に
洋子から取った1匹の親父だけだった。3体が移動して、4体となった。

もうひとつは?
斎藤は悲しそうな顔をしたが、すぐあきらめ顔になった。30秒後に斎藤
消え、俺の
もぐらたたきにミニチュアとなって現れた。と同時に、目の前にまた斎藤が現れた。

それはいわゆる斎藤の
クローンであった。「これがクローンか。」もぐらたたきを買った後、時間のあるときに
保険証書を読んだ。そこには、負けたとき
クローンを出し、生活を保証しますと書いてあった。「なるほどな。
自分の代わりに働いて、生活してくれるということか。」あのときの
もぐらたたき法案で保険が義務付けられた
意味がようやくわかった。

クローン
斎藤は、なにもなかったかのように、自分のもぐらたたきをしまい、カフェを出ていった。

洋子もぐらカフェにやってきた。「どう?」っと言って、モニターを覗きこんだ。
斎藤君負けたみたいね。いいきみよ。こいつ、いやらしいったら、ありゃしない。いつもいやらしい目でみていくの」
「気があるんじゃないか?」

「ねぇ、やってみて。ほらリングが
青色に変わっているでしょ。」「ほんとだ。これでできるのか」
もぐらたたきの横のボタンを押した。横から箸ぐらいの長さの、とんかちがでてきた。
「とんかちの横のボタンを押して。」とんかちが2倍ぐらいになった。ちょうど叩くのにいい長さだ。

「じゃあ、やってみるか。」スタート。
もぐらが一斉に穴にはいった。例のもぐらたたきのように、親父が現れ、
斎藤があらわれ、OLがランダムにでだした。俺は、遠慮がちに、軽くヒットさせていた。そのたびに、もぐら
奇妙な声を出す。「ピョン!キャキャ!グニュ!ピュウ!」。しかし、本体自信には傷がつかないようだ。
ポイント20クリアー。また、総合ポイントが増えた。2500点。ランク外。

ぴ〜さん、だめよそんなに遠慮してたら。こうやるのよ。」といって、洋子はわたしのもぐらたたきの前に行き、
自分のリングを反応させ、ゲームをした。「こいつよこいつ、
斎藤め!斎藤ばか!」といいながら、思いきり
斎藤を叩きのめしていた。そのたびに斎藤は「ぴょこ、ピョコ!ヒュウー」、という奇声を発していた。
「あぁ、ス〜ットした。」なるほど、これがストレス発散の究極玩具か。

それを境に俺は、ますます
もぐらたたきゲームに熱中した。もぐらたたきには3つの楽しみ方があるのもわかった。
一つ目は
もぐらたたきそのもの、二つ目はもぐらたたきの人形をあつめること、三つ目はもぐらたたきのバーチャルゲームを
極めること。俺はどうやら三つ目のとりこになったらしい。とにかくゲームに勝って、ポイントを増やし、ランクインすること
だけが俺の目標となった。そして、半年が過ぎた。得点は
189280点、ランク97806位
これは1臆分の10万から見れば、0.1%の範囲に入る。

ランクは10万位以内になると、モニタに−でるようだ。そしてリングは
緑色に変わった。リリースしたもぐらも何百体と
なっている。時々すれ違う
のリングの人がお辞儀をしていく。俺には記憶はないが、俺がリリースした人なの
だろう。
斎藤もリーリースした。いま、俺のもぐらたたきには、アイドルおたくからとった、5人のアイドルが収納されていた。
会社内では、俺の知る限り俺の相手になるものはいないし、行き付けの
もぐらカフェにもいなくなった。
当然
もぐらカフェのランクは1位である。

そんなある日、1つのメールが入ってきた。【今夜7時、あなたの行き付けの
もぐらカフェでまってるわ。メイ。】

(…つづく)