エピソード25 にこにこマン


 三つ揃えのスーツがきまった青年が電車に乗ってきた。
後ろには、リュック、髪型は今風の青年である。
私は一瞬目が合った、この瞬間に目の輝きからすべてを察知した。
しばらく、様子見で彼を私は観察していた。電車の中はそんなに混んではいない。
むしろ空いていると言っていい。

彼は、電車の中を歩き出した。そして、若い女の子のそばに寄っては、
「こんにちは!」そして、ニコと微笑む。そして、次の女の子へ。
同じ車両にいる女の子全員に同じ事を繰り返した。

一番最初の女の子は、知り合いかと思ったが、すぐ次のターゲットに移ったので
そうではないとすぐわかったのであるが、それにしても大胆不敵な
こんにちわぁ、ニコニコマンである。女の子は、次は私かな?と思いつつ
いやな思いをしていたにちがいない。しかし、害を加えることもなく、彼は一通り
挨拶すると、おとなしく活動をやめた。

これで目が普通なら、ある意味うらやましいかぎりである。

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